帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、水ぼうそうと同じ水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)により発症する、体の片側の一部だけに痛みと小さな水ぶくれが集まってあらわれる病気です。身体の左右どちらかにピリピリと刺すような痛みと、それに続いて赤いぶつぶつと水ぶくれが帯状に現れます。

帯状疱疹の発症数は年間約60万症例と推察され、50歳を過ぎるとその発症率は上昇する傾向にあります。しかい若い方でも、ストレスや過労、感染を契機に発症することがあるため、注意が必要です。

水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に初めて感染した時は、水ぼうそうとして症状がでます。その後、ウイルスは体内の神経節に潜み、加齢やストレス、疲労、病気等で免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経を伝って皮膚に到着し「帯状疱疹」として発症します。片側だけ出るのが特徴で、両側にまたがって症状が出たり、いろいろな部位に同時に多発することは稀で、そういったケースでは内臓悪性腫瘍が隠れている場合があります。

皮膚に症状が現れる数日~1週間くらい前から、皮膚の違和感、ピリピリ感等の神経痛を伴う事があります。その後、強い痛みを伴い身体の片側の神経に沿って帯状に盛り上がった赤い斑点や水ぶくれが出現し、やがて水ぶくれがただれた状態となり、1週間から10日でかさぶたとなり、治癒していきます。

神経に沿って炎症が起きるため強い痛みを伴うことが多く、皮膚症状が治ってからも同じ部位に痛みが続くもの(ブツブツが出現してから3か月以上)を帯状疱疹後神経痛と呼びます。痛みは多くの場合は1〜2か月で改善していくことが多いのですが、高齢者や免疫力低下のある方では半年~年単位で続いてしまうこともあります。

眼の周りにできた場合、ヘルペス性の角結膜炎に注意しなくてはなりません。また、耳前部にできた場合は、耳鳴り、難聴、顔面神経麻痺(ラムゼイハント症候群といいます)の合併症がでることもあります。

帯状疱疹は自分の体の中に隠れていた水痘帯状疱疹ウイルスが原因となりますので、帯状疱疹としてほかの方に感染することはありません。ただし、水疱部にウイルスが出てきていることがありますので、感染を広げないよう注意が必要です。

軽症の場合は水痘帯状疱疹ウイルスに対する抗ウイルス剤の内服が中心の治療となります。痛みには消炎鎮痛薬、神経炎にビタミン剤などを処方する場合もあり、皮疹の状態に合わせて外用剤による処置を行います。また、顔の帯状疱疹や発熱全身の皮疹を伴う場合など、重症化のリスクが高いと判断される方は抗ウイルス薬の点滴治療が必要になることもあります。

高齢者になると、帯状疱疹が重症化したり、帯状疱疹後に神経痛が強く出ることで生活の質が低下してしまうことがあるため、50歳以上の方には「帯状疱疹ワクチン接種」をお勧めしています。50歳以上の方であれば自治体より助成金が出ますので、お気軽にご相談ください。

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