円形脱毛症とは、何の前触れもなく突然、髪の毛が抜け始める病気です。典型的なものでは文字通り円形の脱毛斑が頭皮にみられる疾患ですが、頭皮全体に多発して癒合して大きな脱毛斑となる場合や、頭部全体に抜け毛が及ぶ場合、頭皮以外のまつ毛や眉毛、全身の体毛がぬけるタイプもあります。

一般的に自覚症状はありませんが、脱毛前や活動期に軽いかゆみや違和感、淡く赤みを帯びることもあります。

明確な原因はわかっていませんが、近年では毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられています。疲労や感染症などの肉体的・精神的ストレスを引き金に、毛包由来の自己抗原をターゲットにした自己免疫反応が誘発されるということも想定されます。

また、家族内発生、アトピー素因(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、軽いアレルギー性鼻炎)、橋本病などの甲状腺疾患、尋常性白斑、SLE、関節リウマチあるいは重症筋無力症などの自己免疫性疾患が合併することが知られています。

脱毛のタイプにより、円形の脱毛斑がひとつできる「単発型」、円形の脱毛斑が多発する「多発型」、頭部全体に脱毛が及ぶ「全頭型」、全身の脱毛がみられる「汎発型」、生え際に限局的に帯状になる「蛇行型」に分けられます。

アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患、膠原病を基礎疾患に持っている方は円形脱毛症になりやすい方もいるといわれていたり、その他のかたでも遺伝的な体質を持っている方もいますが、そのような素因が全くない方もいます。体質的になりやすい方では、繰り返し再発することもありますが、単発で繰り返さない方も多くいらっしゃいます。「全頭部型」「汎発型」「蛇行型」は通常のタイプに比べて難治になる傾向があります。

円形脱毛症の脱毛部では、本当に毛が脱落して無くなっています。 毛根が縮んで休止期のようになっているのですが、その原因は、成長期の毛根が一様にリンパ球による炎症で壊されてしまうからです。

脱毛の症状や、引き抜いた毛の毛根の状態、ダーモスコープという特殊な虫眼鏡をつかって頭皮の毛穴の状態を診ることなどで総合的に診断を行います。確定診断には皮膚生検といって皮膚の一部を小さく切除して病理組織学的に診断が必要になり、状況に応じて検査を組み合わせて行って診断します。

脱毛の範囲や発症した時期、症状が固定されているか進行しているか、その方の年齢等から治療方法を選択します。

始まったばかりの場合や小範囲しか脱毛していない場合は、ステロイドやフロジン液などの外用療法やグリチロン、セファランチンの内服薬、アトピー素因のある患者さんには抗アレルギー薬の飲み薬で様子をみます。 広く脱毛している場合や1年以上も続いている場合は、冷却療法や局所免疫療法、紫外線療法が適応となります。

ゆう皮フ科クリニック
保険診療のご予約

ご時間帯予約システムをご利用ください